10 何処から何処まで




「おはようございます、趙雲殿」

「……」

「どうかしましたか?」

「いや。君がここにいるとは思わなかった」

「そうですか?いつも通りです」

「だからこそ反応に困っているんだが」

「可笑しなことを言いますね」

「そうか?私の言葉は皆の気持ちを代弁しているようなものだと思うぞ」

「…そう、ですか」

「君も知っている通り私は少々怖いもの知らず…というより学習能力が無いところがあってね」

「その通りですね」

「だからつい聞いてしまうのだが…孟起はどうした」

「…死にましたね」

「そうか。やはり死んだか」

「予想していました?」

「まぁ二度と会えないであろうことは覚悟していたな」

「………」

「ところで。孟起が死んだ今も君は”従兄殿”でいるのか?」

「ええ。私は孟起が生まれてから己が死ぬまでの間はずっと”従兄殿”以外の何者でもないので」

「それが従兄殿のスタンスというものなのか」

「いいえ。意地です」

「意地?」

「そうです。意地としか言えない、己の…生の証、楔です」

「…意外に思ったほど…君は大丈夫に見えていたんだが」

「『だが』?」

「思った以上に痛手なようだな」

「何が、でしょう?」

「君は自分自身の気持ちを無意識の内に偽れてしまう…すごい人のようだから」

「そんなこと」

「ない、と言い切れてします辺りが本当に恐ろしいな」

「………」

「従兄殿に必要なものは、ただ”馬孟起の従兄”という絆だけなんだな」

「生憎、それしか手元に残らなかったので」

「残さなかった、の間違いだと私は思うのだが」

「……後悔なんてしませんし、憐憫も侮蔑も受け付けませんよ」

「そんなことするは気はないな。”従兄殿”に失礼なことだから」

「ええ。…私はとても幸せなのですから」



従兄殿の真実は”何処から何処まで”なのか。

本人すらも一生かけてもわからないのだろう。







質問配布元は こちら「SILENT SPEECH

 

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